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美容室にキャッシュレス決済導入は必須?メリット・デメリットを解説

公開日:2024年1月26日

スマートフォンの普及に伴い、キャッシュレス決済の利用者も急速に増加しています。キャッシュレス決済に対応していない美容室は、他店に顧客を逃してしまっているかもしれません。
キャッシュレス決済の種類やどのようなメリットがあるのかを知り、必要に応じて導入を検討しましょう。
この記事では、美容室でキャッシュレス決済を導入するメリット・デメリットや選ぶポイントなどを解説します。

目次

これからの美容室にはキャッシュレス決済の導入が不可欠

近年、キャッシュレス決済はさまざまな場所で使用できるようになっています。2023年に公表した経済産業省のデータによると、2022年のキャッシュレス決済比率は過去最高の36.0%でした。(※)5年前の21.3%と比較すると、キャッシュレス決済の普及が拡大しているかが分かります。

キャッシュレス決済はお客様にとって多くのメリットがあるため、対応していない店舗は避けられてしまう可能性があります。

2019年に厚生労働省が発行した美容業向けの資料では、普段美容室を利用している人がお店に行きづらいと感じる理由として20%の人が現金のみしか使えないことを挙げています。(※)

今後ますますキャッシュレス決済の普及が予想されるので、これからの美容室経営にはキャッシュレス決済の導入が不可欠となるでしょう。

キャッシュレス決済だけでなく、美容室の業務を一元的に管理できるシステムも増加しています。美容サービス業にとっても業務のIT化は待ったなしの課題です。

※参考:経済産業省. 「2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました~キャッシュレス決済比率は36.0%、決済額は初の100兆円超えに拡大~」. https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230406002/20230406002.html , (2023-11-20).

※参考:厚生労働省. 「今日から実践!収益力の向上に向けた取組みのヒント」. P12. https://www.mhlw.go.jp/content/000505169.pdf , (2023-11-01).

美容室にキャッシュレス決済を導入するメリット

キャッシュレス決済の導入は美容室とお客様の双方にメリットがあります。キャッシュレス決済システムを導入することで、美容室は業務の効率化や売り上げのアップが期待でき、お客様にはポイントが貯まるなどのメリットがあります。

美容室とお客様それぞれのメリットを見ていきましょう。

美容室のメリット1. 売上管理の負担を軽減できる

現金決済に比べてキャッシュレス決済では、会計業務がスムーズに行えます。釣銭のミスがなくなり、会計時のやりとりに要する時間も節約できます。

レジ締めにかかる時間も格段に短縮可能です。

美容室のメリット2. 多様な販促を展開できる

キャッシュレス決済だけでなく美容室に必要な業務をトータルで提供するシステムを導入すれば、割引クーポンや回数券の発行などの販促策を手軽に展開できる可能性があります。

従来であればクーポンや回数券を印刷して配布する必要がありましたが、専用のアプリなどを使ってキャンペーンや割引の告知、チケットの配布・使用までがオンラインで可能です。

美容室のメリット3. 新規顧客の開拓・客単価の向上が期待できる

近年では現金をあまり持ち歩かない人が増えてきており、キャッシュレス決済を導入していないお店を選ばない傾向もあるようです。そのため、キャッシュレス決済を導入していない美容室では、導入している店に潜在顧客を奪われている可能性があります。

早めにキャッシュレス決済を導入することで新規顧客の開拓が見込めるでしょう。また、現金決済のみの美容室では、手持ちの現金が少ないと高単価のサービスを受けにくいかもしれません。キャッシュレス決済の導入は、既存顧客の客単価の向上にも寄与する可能性があります。

お客様のメリット1. 支払いの手間が省ける

現金で支払う場合、財布からお札や現金を取り出して、お釣りをもらうやり取りが発生します。

キャッシュレス決済であれば、現金に触れずにわずかな時間で会計を済ませることが可能です。

お客様のメリット2. 現金を用意しなくても良い

トリートメントの追加やヘアケア用品の購入など、美容室の料金は予定したよりも高額になるケースもあるでしょう。予算オーバーしても支払えるよう、事前にATMから現金を引き出しておく必要があります。

キャッシュレス決済なら手持ちの現金が少なくても支払いの心配をすることなく、サービスを受けられます。

お客様のメリット3. さまざまな特典を受けられる

決済手段によって受けられる特典はさまざまです。クレジットカードや電子マネーでは、利用金額に応じてポイントが貯まる制度を設けているのが一般的です。

美容室のメニューによっては数万円の支払いになることもあるため、ポイントを貯めたいお客様にとって大きなメリットでしょう。

美容室以外の支払いでもクレジットカードや電子マネーを使用すると相当程度のポイントが貯まり、支払いに利用できたり商品と交換できたりします。

美容室にキャッシュレス決済を導入するデメリット

キャッシュレス決済にはデメリットもいくつかあります。導入の際にはメリットだけでなくデメリットもよく把握することが重要です。

デメリットに関しても美容室とお客様に分けて解説します。

美容室のデメリット1. 導入には費用が発生する

キャッシュレス決済を導入する際の初期費用として、決済端末機器の購入費用あるいはレンタル料が発生します。機器の料金は決済システムによって異なり、数千円程度から十万円程度までさまざまです。

さらに、多くのキャッシュレス決済はインターネット経由で行うため、インターネットを利用していなければ新たに契約しなければなりません。

また、従業員が決済の手続きやシステムの管理に慣れるために、研修などをする必要が生じます。

美容室のデメリット2. 決済手数料や使用手数料が必要

キャッシュレス決済には初期費用以外にランニングコストも発生します。クレジットカード決済や電子カード決済では、利用金額の3%程度の決済手数料を支払わなければなりません。

また、システムによっては月ごとに定額の使用手数料を支払う形態もあります。

美容室のデメリット3. 入金まで時間がかかる

実際のサービスの提供から決済代行会社などからの入金にはタイムラグが生じます。支払いは毎月決まった日に行われるので、入金まで数週間程度の期間を要する場合もあるでしょう。現金決済のみの場合に比べて、資金繰りには十分注意が必要です。

お客様のデメリット1. 不正利用の危険性がある

電子マネー、デビットカードなどのキャッシュレス決済の中でも特にクレジットカードは、他人に不正使用されてしまう危険性があります。例えば、偽のホームページに誘導してカード情報を盗み取るフィッシング詐欺やクレジットカードに記録されているデータを機械で読み取って偽造カードを作るスキミングが有名です。

近年ではWebスキミングという新たな手口でカード情報を盗み取る方法も増えています。キャッシュレス決済でクレジットカードを利用者している場合、毎月の利用明細にしっかり目を通して身に覚えのない支払いがないかどうか確認しなければなりません。

お客様のデメリット2. 決済システムにトラブルが生じる可能性がある

キャッシュレス決済が現金決済に比べて劣る点は、決済システムにトラブルが生じて利用できなくなる危険性があることです。災害や通信ネットワークに問題が生じて使えなくなる場合と決済システム自体に障害が発生する場合の2通りがあります。

決済システムの障害の場合はその決済手段だけが影響を受けますが、災害や通信ネットワーク障害の場合は多くのキャッシュレス決済のシステムが使えなくなる可能性が考えられます。

美容室で使われている主なキャッシュレス決済の種類

キャッシュレス決済とは、現金以外で支払う決済方法です。その種類には大きく分けてクレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイドカード)、スマートフォン決済の4つがあります。

ここからは美容室でよく使われている、デビットカードを除く3種類の決済方法を解説します。

クレジットカード決済

キャッシュレス決済の中で最初に普及し、今でも最も使われているのがクレジットカードです。(※)VIsaやJCB、Mastercardなどさまざまなクレジット会社がありますが、決済代行会社と契約すれば多くのカードが使えるようになります。

クレジットカードで決済を行うとお客様に手数料はかかりませんが、店側は3〜4%程度の決済手数料を支払わなければなりません。

また、導入するときには数千円から数万円の決済端末機器の購入が必要です。

※参考:経済産業省. 「2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました~キャッシュレス決済比率は36.0%、決済額は初の100兆円超えに拡大~」. https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230406002/20230406002.html , (2023-11-20).

電子マネー決済

電子マネーにもいくつもの種類があります。交通系のSuica(スイカ)やPASMO(パスモ)、流通大手が発行するWAON(ワオン)やnanaco(ナナコ)などが有名です。

事前に専用チャージ機でカードへ現金をチャージして利用します。クレジットカードと同様にカード型電子マネーの読み取り端末と決済手数料の費用が発生します。端末の料金は数万円程度、決済手数料は3%程度が目安です。

電子マネー決済にも、電子マネー会社と個別に契約する方法と決済代行会社と契約して複数の電子マネーに対応する方法があります。

クレジットカードのように審査が必要ないため、ユーザーは気軽に利用することが可能です。

スマートフォン決済

スマートフォン決済には多様な決済手段があります。携帯キャリアの携帯電話利用料金と同時に引き落とすキャリア決済や非接触IC決済、QRコード決済などが主な決済方法です。非接触IC決済は電子マネーやクレジットカードの情報をスマートフォンに取り込み、店舗の決済端末にスマートフォンをかざすだけで決済できるシステムです。

QRコード決済は、ユーザーがスマートフォンの決済アプリにQRコードを表示して店舗側がそれを読み取る、または店舗のQRコードをユーザーがスマートフォンで読み取ることで決済が成立します。

美容室のキャッシュレス決済を選ぶときのポイント

どの決済システムを導入するかは、以下のようなポイントに留意しましょう。

1. どのキャッシュレス決済に対応しているか

キャッシュレス決済といっても、決済方法はさまざまです。なるべく多くのお客様にキャッシュレス決済を利用してもらうためにも、複数の決済に対応しているシステムを選びましょう。

それが難しい場合は、事前にお客様はどんな種類のキャッシュレス決済を求めているのかを検討して選ぶことをおすすめします。

2. イニシャルコストやランニングコストはどれくらいか

キャッシュレス決済の導入には、決済端末機器の導入などに要するイニシャルコストと決済手数料や定額使用料のランニングコストが発生します。コストが美容室の経営状態に見合っているかどうかは慎重に検討しなければなりません。

特にランニングコストは見逃せないポイントです。キャッシュレス決済の導入を開始すれば、継続して支払わなければならないコストになるため、負担にならない費用かどうかをきちんと見極めましょう。

3. 他の業務と一元管理できるか

美容室には、会計以外にもさまざまな業務が存在します。中でも予約管理は重要です。利用者からすると24時間365日いつでもどこからでも予約できれば利便性は向上します。

予約機能をはじめ、多くのバックオフィス業務を一元的に管理できるシステムであれば業務効率の大幅な改善が期待できるでしょうチケットやクーポンの発行・管理などの販促策の展開やデータ管理も可能なシステムであればさらに便利です。

キャッシュレス決済の導入には補助金が活用できる

キャッシュレス決済の導入には、前述のようにコストがかかります。そのため、コスト面の問題により、導入に踏み出せない美容室もあるでしょう。

そんなときに知っておきたいのが、助成金の制度です。政府はキャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度、将来的には世界最高水準の80%を目指す目標を掲げています。(※)この目標実現のために、デジタル化を推進する企業を支援するさまざまな補助金が用意されています。

例えば、IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠では、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトなどの導入費用が補助の対象です。(※)
美容室にキャッシュレス決済を導入する際は、ハードウェア購入費用の1/2、ソフトウェアや導入費用・保守サポートの費用の3/4が支給されます。

POSレジやパソコン・タブレットの購入費用だけでなく導入時のコンサルティングやマニュアル作成・導入研修なども補助の対象です。補助金をうまく活用すれば初期費用の半分以上を節約できるので検討をおすすめします。

※参考:経済産業省. 「2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました~キャッシュレス決済比率は36.0%、決済額は初の100兆円超えに拡大~」. https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230406002/20230406002.html , (2023-11-20).

※参考:IT導入補助金2023. 「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」. https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbase/ , (2023-11-20).

美容室に便利なキャッシュレス決済を導入しよう

キャッシュレス決済は導入すれば、必ずメリットがあるというものではありません。
自店がキャッシュレス決済した方が良い美容室であるかどうかをよく見極めましょう。

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